介護は「まだ先の話」と思っていませんか
自分自身や家族が年齢を重ねるにつれ「介護はいつか必要になる」と思いながらも、どこか他人事のように感じてしまうことはありませんか。
私自身も高齢になった両親の変化を感じながら、今すぐ介護が必要な状況ではないため、どこか先の話として考えてしまうことがあります。
もし親やパートナーに介護が必要になったら、仕事と介護は両立できるのだろうか。
自宅で介護を続けられるのか、それとも施設なのか。
介護にはどれくらいのお金が必要なのか。
考え始めると、不安は次々と浮かんできます。
私自身もこのことについて改めて考えました。
そして、たどり着いた答えは、「先の見えない未来を心配し続けること」ではなく、「困ったときに相談できる場所を知っておくこと」でした。
わからないことは知っている人に聞く。
自分だけで考えるのではなく、周りの人たちも巻き込み、一人で抱え込まない。
当たり前のように思えることですが、困ったときほど「迷惑をかけたくない」「自分で何とかしなければ」と、一人で抱え込んでしまう人は少なくありません。
介護は、一人で頑張るものではありません。
今回は、私自身が介護の現場で経験してきたことも交えながら、「困ったときに相談できる場所」について紹介していきます。
突然の1本の電話
「家を出ますので、あとはお願いします」
私が20代でケアマネジャーとして働いていた頃の出来事です。
排泄等の身の回りの介助が必要な高齢男性と認知症の高齢女性の夫婦を担当していた時の話です。
仕事で社外にいる時に会社から「○○さんのお嫁さんが家を出るからあとはお願いしますと連絡があった」と緊急の連絡です。
主の介護者は同居のお嫁さん。
息子である夫は県外へ単身赴任中。
お嫁さんからは介護への不満は聞いたことがありませんでした。
穏やかで、当たり前のように介護を続けている方でした。
しかし実際には
一人の義理の両親の介護を抱え続けていたのです。
ワンオペ介護が限界を招く理由

ここでいう「ワンオペ介護」とは、介護の中心を一人で担い、家族や周囲の十分な協力を得られない状態をいいます。
お嫁さんも、介護保険サービスを利用していたとはいえ、それ以外の時間は義理の両親の介護をほぼ一人で担っていました。
何か大きな出来事が起きたからではないのです。
家事をしながら介護をする。
夜中に起きる。
病院へ付き添う。
毎日の小さな負担が少しずつ積み重なり、心も体も限界を迎えてしまうのです。
限界は突然訪れるように見えます。
しかしその多くは、静かに積み重なった結果なのです。
家族が「当事者」になった瞬間
県外に単身赴任中の息子さん、隣の県に住んでいる別の息子さんに連絡。
突然の出来事に、他のご家族は何をすればよいのかわからない状況でした。
それまで介護は「お嫁さんの役割」になっていたのです。
介護が必要な義父は、介護保険サービスで利用ができる宿泊サービスのショートスティを利用。
認知症の義母は隣の県に住む息子さん宅に泊まりに行くことで、何とか体制を整えました。
1週間ほどするとお嫁さんは戻ってこられました。
以前と変わらず穏やかな表情で。
しかし、この出来事をきっかけに大きな変化がありました。
私が訪問すると、単身赴任中の息子さんや隣の県の息子さん夫婦の姿を見かけることが増えました。
以前は一度もお会いしたことはありません。
お嫁さんが限界を迎えたことで、家族は初めて介護は一人だけが背負う問題ではなかったことに気付いたのです。
「自分も当事者だ」と気付いた瞬間だったのかもしれません。
当時は、「私の支援が足りなかったのではないか」と悩みました。
でも今振り返ると、家族にも言えない思いを抱えたお嫁さんが、自分の子どもほど年の離れた私を「駆け込み寺」として頼ってくれたのだと思っています。
困った時の「駆け込み寺」はどこ?

では、実際に皆さんが困ったときはどこへ相談すればよいのでしょうか。
| ・市区町村役所 ・地域包括支援センター ・病院の地域連携相談室 ・かかりつけ医 ・介護支援専門員 ・介護保険サービス事業所 |
上記のような公の機関は目にしたことや聞いたことはあるかもしれませんが、私の経験では介護施設や通所サービスの事業所に自転車に乗った近所の方が相談に来るという事も少なくなかったです。
何に困っているのか、どうしたら介護保険サービスを利用できるのか、相談は様々でした。
近所だから行きやすい、前から気になっていた。
何をどうしたらいいのかわからない。という方が多かったです。
私が住んでいる地域性なのでしょうか。
これも駆け込み寺の一つではないでしょうか。
まとめ:ワンオペ介護にならないために
介護が必要な方の生活を守ることはもちろん大切です。
でも、それと同じくらい大切なのは、介護をする人の生活を守ることです。
介護は、一人で抱え込むものではありません。
私が担当したお嫁さんも、限界を迎えて初めて「助けて」と声を上げることができました。
あのとき、もし誰にも相談できる場所がなかったら、もっと大きな問題になっていたかもしれません。
介護はいつ始まり、いつ終わるかわかりません。
だからこそ、今から「困ったときに相談できる場所」を知っておくだけでも安心につながります。
今介護をしている方も、これから介護に向き合うかもしれない方も、一人で抱え込まず、まずは身近な人や専門職へ相談してみてください。
その一歩があなた自身の生活と介護を受ける方の生活を守る事に繋がります。
介護は急に始まります。
だからこそ、相談先だけは急いで探すものではなく、今のうちに知っておくことが大切です。
まずは、ご自身やご両親がお住まいの地域の地域包括支援センターを調べてみてください。
その小さな準備が、介護を受ける人だけでなく、介護をするあなた自身を守ることにつながります。
あなたの家では、もし介護が始まったら誰が中心になりますか。
「たぶん私がやることになる」と思った方は、一人で抱え込まないために今から家族で話し合ってみてもいいのではないでしょうか。
介護は、一人で頑張るものではありません。
介護は生活の一部です。
だからこそ、一人で抱え込まず、支え合いながら続けていくことが大切なのだと思います。



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