親が入院し、治療やリハビリが進むと、やがて退院の話が出てきます。
「退院できるなら、ひと安心」
そう思う一方で、自宅に戻ってからの生活を考えると、
「一人でトイレに行けるかな」
「昼間、一人にしても大丈夫?」
「家族がずっと付き添わないといけない?」
と、新しい心配が出てくることもあります。
入院前にはできていたことが、退院後も同じようにできるとは限りません。
だからこそ、退院が決まってから慌てるのではなく、入院中から退院後の生活を
少し具体的に想像しておくことが大切です。
すべてを完璧に準備する必要はありません。
本人や家族が「ここが心配」と感じるところから、ひとつずつ整えていきましょう。
まずは「自宅での1日」を想像してみる
退院後の生活を考えるとき、必要なことを一度に考えようとすると大変です。
そこで、朝起きてから夜眠るまでの生活を思い浮かべてみます。
すべてを「できる・できない」で判断する必要はありません。
「ここは大丈夫」「ここは少し心配」「ここは誰かの助けが必要かもしれない」と
分けて考えてみてください。
心配なところが、退院までに準備しておきたいことになります。

こうして一日の生活に沿って考えると、「できること」と
「手助けが必要なこと」が見えやすくなります。
できないことを探すためではありません。
安心して自宅で暮らすために、どこを少し手伝えばいいのかを
考えるための確認です。
自宅の中を安全に移動できる?
病院では歩けていても、自宅とは環境が違います。
病院には手すりがあり、床も比較的平らです。
一方、自宅には段差があったり、廊下が狭かったり、ベッドからトイレまで距離があったりします。
退院前には、自宅での生活で不安に感じる事などを確認しておくと安心です。
必要に応じて、介護保険で利用できる福祉用具や住宅改修について相談することもできます。
「退院してから考えよう」ではなく、入院中から相談しておくと退院後の生活を始めやすくなります。
家の中は一人で動ける?
入院すると筋力が弱わり、ベット柵につかまって動く事が習慣化することがあります。
自宅で寝起きが一人でできるのかで、生活が大きく変わります。
室内を安全に移動するために杖や手すりが必要かどうかは重要です。
この点は退院前に確認し準備が必要と思います。
退院前に環境を整えておくことで安全に自宅での生活が送れます。
トイレは一人で行ける?
自宅での生活を考えるうえで、トイレはとても大切です。
昼間は一人でトイレまで行けても、夜は事情が変わることがあります。
暗い中で歩くことへの不安や、寝起きで足元がふらつくこともあります。
そんなときは、
といった方法もあります。
「今までトイレに行けていたから」と以前の生活に合わせるのではなく、
今の状態に合わせて方法を変えることも、自宅での生活を続けるための工夫です。
トイレが間に合わない時はパットや紙パンツの使用も外出への不安の解消に繋がります。
食事はどうする?
食事も「食べられるか」だけではなく、もう少し広く考えてみます。
一人で食べることができても、
「誰が食事を準備するのか」
という問題が残ることがあります。
家族が毎食準備できるとは限りません。
本人が準備できるのか、家族が作り置きをするのか、配食サービスなどを利用するのか。
必要であれば、食事の姿勢や飲み込みについて専門職に確認しておくことも大切です。
食べることと、食事を用意できることは別の問題です。
退院後の生活では、その両方を考えておきます。
日中、一人で過ごせる?
家族が、退院後ずっと一緒にいることは難しいでしょう。
そこで考えたいのが、
「日中、一人になったときに困ることは何だろう?」
ということです。
移動、トイレ、食事、服薬など、必要なことが一人でできるのか。
すべてを家族だけで補おうとすると、家族の生活そのものが成り立たなくなることがあります。
訪問介護や通所サービスなどを利用することも一つの方法です。
本人の生活を支えながら、家族が仕事や自分の生活を続けられる場合もあります。
リハビリと「人とのかかわり」も考えてみる
退院後もリハビリが必要な場合があります。
ただ、外に出る目的はリハビリだけではありません。
入院をきっかけに自宅で過ごす時間が増え、人との関わりが少なくなることもあります。
通所サービスなどを利用すれば、リハビリや入浴などの支援受けることができます。
自宅以外で同年代の人と過ごす機会にもなります。
可能であれば入院中に見学や体験利用について相談しておくのもひとつの方法です。
本人や家族にとっても、「どんなところへ行くのかわからない」という不安を減らせます。

家族が休める時間はありますか?
退院後の準備というと、本人のことばかりを考えがちです。
でも、自宅での生活を続けていくためには、家族の生活も大切です。
「家族だからできる」
と思って始めても、それが毎日、何か月、何年と続くかもしれません。
仕事へ行く時間。
買い物へ行く時間。
自分の用事を済ませる時間。
そして、何もしないで休む時間。
そうした時間を確保できるようにすることも、退院準備のひとつだと思います。
全部を家族だけで決めなくても大丈夫
ここまで確認すると、「考えることが多すぎる」と感じるかもしれません。
退院後の生活は専門家と一緒に考えてもいい。
分からないことがあれば、まず病院の相談員などに相談してみてください。
すでにケアマネジャーがいる場合は、退院後に必要な介護サービスについて相談することもできます。
必要に応じて、リハビリ職などに「家ではどこまでできそうか」を確認することもできます。
大切なのは、退院前にすべてを完璧に整えることではありません。
退院後の生活を想像して、心配なところを見つけること。
そして、その心配を家族だけで抱えず、専門職と一緒に「どうすれば生活できるか」を考えていくことです。
最低限必要なことから準備して、実際に生活してみてから見直してもいいと思います。
退院はゴールではなく、自宅での生活をもう一度組み立てていくスタートです。
まとめ|退院後の生活を入院中から少し想像しておく

親の退院が決まると、「家に帰って本当に大丈夫?」と
不安になることもあると思います。
でも、退院前にすべてを完璧に整える必要はありません。
まずは自宅での生活を思い浮かべて、
「ここは少し心配だな」と感じるところを見つけてみてください。
分からないことは、病院の相談員やリハビリ職、ケアマネジャーなどに
聞けばいいのです。
家族だけで答えを出そうとせず、専門職の力も借りながら、まず必要なことから準備していく。
実際に自宅で生活を始めてから、必要に応じて見直していくこともできます。
退院はゴールではなく、これからの生活のスタートです。
本人にも家族にも無理のない形で、その生活を始められる準備をしていきましょう。

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